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VRによるキャラメイクと、成年向けアプリ:VaM, CM3D2/COM3D2, HS, Koikatu, EmoCre

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現状、VRによるキャラメイクを体験できるのは、ほぼ成年向けのアプリ/ゲームになるでしょうか。

関連


3Dキャラをカスタマイズする:リアル調/アニメ調:DAZ Studio
3Dキャラをカスタマイズする:アニメ調:VRoid Studio

VRでキャラメイク


キャラクタクリエイションのツールだけでなく、サンドボックスのアプリやオープンワールドのゲームには、キャラメイクができるものがたくさんあります。

ただしそれらは、PCのデスクトップ向けやスマホ向けのものが大半です。

成年向けだけ?

VR環境でキャラメイクができるツール/アプリ/ゲームを探すと、いまのところ、次のような成年向けが目立つ、という現実があるようですーーそしてVRへの対応も、それぞれに制約があります:[※1][※2]

VaM, MeshedVR …… サンドボックス・アプリ/リアル調/成年向け
CM3D2/COM3D2, Kiss …… ADV/アニメ調/成年向け(ただし、ゲームを進めないとキャラメイクやサンドボックスの機能は使えない)
HS (+ MOD) , Illusion …… ADV/セミリアル調/成年向け(ただし、キャラメイク/サンドボックスはVR非対応(MODはすべてVR対応))[※3][※4][※5]
Koikatu (+ MOD) , Illusion …… ADV/アニメ調/成年向け(ただし、キャラメイク/サンドボックスはVR非対応(MODはすべてVR対応))[※3][※4][※5]
EmoCre (+ MOD) , Illusion …… ストーリーテリング・アプリ/アニメ調/成年向け(ただし、VR非対応(MODはVR対応))[※3][※4][※5]
成年向け → 一般向け

これらのうち、一般向けに修正〜移植されたものもありますがーースマホ向けに特化していたり、提供されなくなったりと、やはり厳しい状況です:[※6]

COM3D2 → COM3D2 It's a Night Magic …… ADV/アニメ調
COM3D2 → Custom Cast ……アバター作成アプリ/アニメ調/携帯端末向け
Koikatu → V Katsu …… アバター作成アプリ/アニメ調
Koikatu → V Katsu …… アバター作成アプリ/アニメ調/携帯端末向け

※1
ほかにも多くのツール/アプリ/ゲームがありますが、日本ではコミュニティの広がりがなかったりと、厳しい状況ですーーかろうじて次のツールが一般向けですが、キャラメイクの部分はカスタマイズというよりモデリングそのものですし……:
https://masterpiecestudio.com/masterpiece-creator
※2
とくに成年向けのゲームでキャラメイクが発達したのは、ストーリーへの指向がそれほど強くないためでしょうねーーストーリー性を重視すれば、それぞれのキャラクタには一定の役割をもたせる必要があります。たとえ外面(容姿や体型)の要素であっても、それらを変えられてしまうと物語に対する違和感が出てしまうでしょうし。
※3
MODについては、リバースエンジニアリングの一環として、自身の所有するプログラムを自身の責任において改変するかぎり、問題ではないように思えます(じっさいにこのような考え方は、ある種の社会通念として存在しています)。もちろんそのMODが、プログラムの開発者やほかの利用者に損害を与えないかぎりにおいてですが(著作権違反やチート行為に当たる改変はしない)ーーとはいえプログラムの開発者が、MODにかかわる規約を示していることも多くあります。それを理解したうえで売買したのですから、契約を守る姿勢は求められるべきでしょうしーーここに、ある種の社会通念を優先するか、交わした個別契約を優先するか、という問題がありますーーなおここで挙げた2社は、現時点でMODを許容していませんーーなのでそういった社会通念のもとにMODを作成したとしても、たとえばMODを使った改変キャラを公式サイトに登録するような行為は、控えるべきでしょうし(チート行為に当たるはずです)。
※4
むしろMODについては、(このサイトの趣旨からいえば)推奨したいと思うくらいなのでーー与えられたモノをただ使うのでなく、自分が欲しいモノは自分で作るーーもちろんそれを極めるなら、ゼロから作るべきということになりますが、あらゆるモノをゼロから作るのは現実的ではありません。すでにあるモノを自分に合ったモノに改良する、というのは、現実的な創造のひとつの形態ですしね。
※5
これらのMODはもともとゲームのファイル自体を改変するものでしたが、いまはランタイム時にメモリにロードされた内容を改変する、というものが主流ですーーこれはWindows のアプリが、起動するときにカレントのフォルダにある特定の名前のライブラリを実行する、という特性を利用しています(またVR化MODについては、GitHub上で管理されていて、ゲームごとに継承のツリーがありますーーこれは相応のプロジェクト管理ができているということで、MODにもそれなりの運用ポリシーがあるわけです)。とはいえ、すくなくともUnity でビルドされるアプリ/ゲームは、MonoからIL2CPPに移行していくでしょうし、MOD作りの環境は厳しくなることが予想されますが。
※6
Vチューバーの活動が活発になり始めたころ、これら成年向けのゲームが修正〜移植され、アバター作成アプリとして提供されましたーーこのことからも、豊富なキャラメイクの機能をもつツールが、ほぼ成年向けのゲームしかなかった、という現実があらわれています。

VRでキャラメイク:VaM / Virt a Mate


概要

このうち、キャラクタのサンドボックスアプリ「VaM / Virt a Mate 」は、そのオープンな仕様が特徴です:

https://www.patreon.com/meshedvr/
特徴:利点

このアプリを使う利点には、次のようなものがあります:[※1][※2]

操作の直観性 …… VR環境で、キャラメイクやアニメーション作成ができる(とくにアニメーションには、物理演算による自然な挙動を加えることができる)
オープン性:3Dキャラ(DAZ ) …… 普及しているキャラメイクアプリの、3Dモデルを利用できる
オープン性:アセット/プラグイン(Unity ) …… 普及しているゲームエンジンで、アセットやプラグイン(スクリプト)を作ることができる
活発な交流(VaM Hub ) …… 専用のコミュニティが提供され、さまざまな試みが行われている
特徴:傾向

ただしこのアプリの特性上、(とうぜんながら)次のような傾向があります:

成年向けによる制約/傾向 …… 未成年の利用が難しい、その猥雑さから倫理上の問題をかかえがち(著作権(リッピング)、肖像権(フェイク))[※3][※4][※5]
男性中心による傾向 …… 男性キャラのカスタマイズ要素があまりない[※6]
キャラモデルによる制約 …… アニメ調のキャラメイク(メッシュ/シェーダ)が難しい

またこれで作った3Dキャラモデルを、他のアプリで利用することも難しいはずですーー元のモデル(DAZ )からボーンそのものが加工されていますし、そもそも利用のライセンスが、このアプリ内で使うことにかぎられるもののはずなので。


※1
とはいえ、このアプリのUIはかなり独特ですーーVR向けに特化していて、さらにDAZ やUnity の知識が前提にあるものとして作られているようにみえます。
※2
ただそれらの仕様を理解すれば、合理的なUIとはいえますがーーたとえばアトム(YAML+JSON のオブジェクト)に関するメニューでは、次のような色分けになっています(色の緑→赤の遷移で、オブジェクトの情報が増えるよう設計されていますーーこういったこだわりの部分はSTEMの教育にも使えそうで、このアプリを成年向けに絞るのはもったいない気もします):
濃緑……空間:位相空間(オブジェクト(アトム)の階層関係)
薄緑……空間:距離空間〜作用:運動学/キネマティクス(オブジェクト(アトム)の位置・回転、キネマティクスによるフックの移動〜ポージング/アニメーション)
青色……作用:動力学/ダイナミクス(ダイナミクスによるボーン間の設定)
薄紫……光学:表面:素材(メッシュのマテリアル(テクスチャ、シェーダ))
濃紫……光学:表面:変形〜髪型&服飾(メッシュのモーフ、など)
青紫……雑多(プラグイン、など)
※3
なお(MMD もそうですが)VaM 向けに提供されている3Dモデルにも、リッピングが疑われるものがあるように思え、利用するときは注意が必要かもしれませんーーユーザが所有していない可能性がある製品について、その素材を使えるようにするというのは、MODよりよほど明確に問題があるといえるはずですーーたしかにVaM はDAZ の3Dモデルを使っているので、リップしてもボーンは使えませんし、メッシュもそのままでは使えないため(Wrapなどで)オリジナルに寄せていくことになりますーーとはいえそれはトレースというべきものでしょうし、テクスチャは流用できますしね。
※4
3Dモデルを公式に配布している開発元もありますが(「原神」を提供しているミホヨ、など)、それでも二次配布は認めていなかったりします。
※5
3Dモデルのリッピングが、欧米圏では(日本より)安易に行われているようにみえるのは、MOD文化による背景や、フェアユースの誤解や強弁がある、という見方もあるようですが……:
MMDのぶっこ抜き/リッピングモデルについて
※6
男性キャラのカスタマイズについては、次期バージョンとされるVaM 2 で解消されるかもしれませんーーVaM 2 では、DAZ の第8〜9世代を使えるようにするようで、とくに第9世代は男性と女性キャラの素体が同じになり、たがいのモーフや服などを共有できるからですーーもちろんこれは、VaM 2 が提供されるという前提のはなしですが。